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利益分割法(PS法)の適用上の留意点について
(移転価格税制コラム_2019/5/6)

移転価格税制における移転価格算定方法の一つである利益分割法(PS法)は、国外関連取引で稼得した所得の合計額である合算利益を合理的な割合で按分することにより、独立企業間価格を算定する方法になりますが、合算利益の按分方法により比較利益分割法、残余利益分割法、寄与度利益分割法の3つの方法があります。

利益分割法は実務の現場において調査官との間において見解の相違がしばしば生じる移転価格算定方法であり、実際に適用する際には予め認識しておくべき留意点があります。

このコラムでは、この利益分割法の適用上の留意点について解説致します。

なお、利益分割法については以下のコラムもあわせて御覧ください。

移転価格税制の基礎を図解を用いた解説

 

比較利益分割法、寄与度利益分割法及び残余利益分割法とは?

利益分割法の3つの方法うちまず比較利益分割法ですが、これは国外関連取引における利益分割割合の算出において同様の取引における独立第3者間の利益配分割合を参照し、当該割合に従って国外関連取引の利益配分を行う方法になります。もしこのような情報が入手できるのであれば客観性に優れた方法ではありますが、実際にこのような情報が入手できることは極めて稀であることから、実務的には通常採用されない方法になります。

次に寄与度利益分割法になりますが、こちらは合算利益をそれぞれの関連当事者の所得稼得へ寄与した程度を推測するに足りる分割ファクターを選定し、当該分割ファクターの国外関連当事者における発生割合により、合算利益を按分する方法になります。具体的には、例えば人件費を分割ファクターとした場合で当該国外関連取引に関連する人件費の法人と国外関連者の発生額がそれぞれ60,40だとした場合、当該60:40の割合で合算利益を按分する方法になります。

最後に残余利益分割法になりますが、これは前述の寄与度利益分割法を適用する前段階において、無形資産等を要しない通常の活動と無形資産等を要する残余の利益の発生に寄与する活動に区分し、無形資産を保有しない一般的な事業活動から生じる基本的利益を外部のデータベースを用いる等の手法で算出し、当該基本的利益差し引き後の残余の利益をその発生に寄与したと推測するに足りる要因(費用の額や固定資産の価額等)で按分する方法になります。

以上のように利益分割法(PS法)には3つの方法がありますが、比較利益分割法が適用可能なケースは極めて稀であるため、実際に用いられているケースとしては寄与度利益分割法と残余利益分割法が大半であるものと考えられます。

 

寄与度利益分割法と残余利益分割法の適用上の課題

寄与度利益分割法と残余利益分割法を適用する際に共通する最大の課題として挙げられるのが、分割ファクターの選定についてしばしば調査官との間に見解の相違が生じることがあるものと考えられます。すなわち分割ファクターの選定に際しては、国外関連取引において所得の発生に寄与したと推測するに足りる要因を選定することになりますが、どの要因が所得の発生に寄与したと考えるのかについて見解の相違が生じることがあります。このことはどの分割ファクターを選定するかにより利益配分割合が大きく異なることとなる一方、分割ファクターの選定において客観的で明確な基準が存在しないことに起因するものと考えられます。

次に、利益分割法の適用上の課題として挙げられるものが、何らかのコストを分割ファクターとして選定した場合において、期中の為替レートの変動により為替換算後の為替レートが大きく変動することが考えられますが、当該為替レートの変動をどのように取り扱うかといったことや(為替レートの変動による分割ファクターの金額の変動は利益分割割合に影響を与えるべきものか)、残余利益分割法における基本的活動と残余利益の発生に寄与する活動を現実にどのように区分するかといった適用上の課題があります。

利益分割法は国外関連取引の双方の当事者が単純な機能のみでなく無形資産等を要する独自の機能を果たす場合に用いられる移転価格算定方法になりますが、実際に適用する際には主観的な判断の介入する余地が大きくその分見解の相違が生じる可能性がある方法になります。国外関連取引の移転価格算定方法として利益分割法を採用する際には、納税者は上記のような利益分割法の適用上の課題に留意する必要があります。

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