国内の100%資本関係の企業集団(連結納税グループ)が連結納税を開始する際や新たに買収し100%子会社化した法人を連結納税グループに取り入れる際に、単体納税時の資産の帳簿価額を連結納税に移行後もそのまま引き継いだ場合、単体納税時代に存在していた含み損益が連結納税導入後の所得に算入されることとなります。
このことは単体納税時代に多額の含み損を抱える資産を保有する法人を買収・100%子会社化し連結納税グループに取り入れた後で資産を処分し損失を実現することにより、連結納税制度のもとでの所得を減少させ、企業が不当な手段で税金を削減することを可能にします。このような企業による不当な税金削減行為を防止するための制度が連結納税開始に伴う時価評価制度になります。本コラムでは当該連結納税制度の開始及び子法人の連結納税グループへの加入に伴う資産の時価評価制度について解説致します。
連結納税開始時の子法人又は新たに連結納税グループに加入する子法人は原則して開始時又は加入時に保有する資産の時価評価を行う必要がありますが、納税者の事務負担、資金負担等を考慮して一定の例外が設けられております。
なお、連結納税の親法人については子法人のように連結納税開始時の時価評価は適用されません。時価評価の対象外となる子法人については適格組織再編成により新たに連結子法人になった法人等いくつかの類型がありますが、その中で最も多いのは、連結納税開始日の5年前の日から継続して親法人との間に100%の資本関係がある法人になります。
100%資本関係については、親法人による直接保有だけでなく、他の100%の資本関係がある法人を通じた間接保有や100%孫会社も含まれることとなります。このような会社については、時価評価の対象外としても不当な税逃れが行われる可能性が低いことから納税者の事務負担等を考慮し、時価評価の対象外とされております。
時価評価の対象となる資産は、固定資産、土地、金銭債権、有価証券(売買目的有価証券、償還有価証券を除く)及び繰延資産とされております。
なお、平成29年の税制改正により連結納税開始時の時価評価の対象とされる資産の範囲から帳簿価額が1000万円未満の資産を対象外とすることとされ、この改正により従来連結納税開始時の時価評価で議論の対象とされておりました自己創設のれんの問題は解消されることとなりました。
また、時価評価により生じた評価益又は評価損の金額についてはその子法人の連結納税開始直前の事業年度の所得計算において益金の額または損金の額に算入することとなります。
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