海外子会社の現地における事業資金調達のため、日本親会社から海外子会社に対し貸付を行うことは一般的に行われている取引でありますが、その際にはグループ間といえども移転価格税制の観点からは海外子会社から適切な水準の金利を収受する必要があります。本コラムでは日本親会社が海外子会社に対し貸付を行う際の金利設定方法について解説致します。
移転価格税制では、基本的に非関連者間で行われた取引情報があれば、当該取引情報に基づき価格の設定を行うことから、グループ内貸付取引においても海外子会社が実際に外部の銀行から類似の条件(貸付時期・貸付期間・通貨等)で行われた取引があれば、当該取引情報をもとに金利水準を決定することとなります。しかし、必ずしもこのような取引情報が入手できるとは限らないことから、以下の優先順位で金利水準を決定することになります。
親子間ローンの金利設定に当たっては上記の1~4の順番で検討し、1のような海外子会社における実際の外部の第3者からの調達事例や2のような海外子会社が外部の銀行から入手したスプレッドの参考情報がない場合、3の貸手の類似の条件における銀行調達金利を推定することにより算定することとなります。
ここで例えば日本の親会社が外部の銀行から資金を調達し当該調達資金を海外子会社に対し貸付るような場合には、最低限日本親会社が海外子会社から収受する金利が日本親会社における調達コストを下回らない(所謂、「逆ザヤ」にならない)ように、金利水準を設定することが必要になります。
これは貸付金利だけの話でないのですが、日本の親会社から海外子会社に対する金利水準については低すぎれば貸付を行った日本サイドにおいて、高すぎれば金利の支払を行った海外子会社サイドにおいて移転価格税制上のリスクが発生することとなります。従って移転価格税制の観点から適切な金利水準に設定し当該金利の設定方法を移転価格文書として文書化することで日本・海外現地国双方の税務当局に対し、金利の設定根拠を提示できるように準備しておくことが、貸付金利についての移転価格税務リスクを低減させる観点から最適な方法であるものということができます。
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