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国際税務ブログ

2018.4.11 海外子会社への出資・貸付時の税務上の留意事項

海外子会社に対し必要資金を日本本社から提供する際の代表的形態として海外子会社に対する出資による方法と貸付による方法があります。このコラムでは海外子会社に対し、出資・貸付を行う際に税務上留意すべき事項について解説致します。

海外子会社からの配当と利息の受取では日本・海外ともに税務上の取り扱いが異なる

まず海外子会社に対し資金を提供する際には、出資にしろ貸付にしろ税務上の取り扱いに大きな違いはなく、大きく異なるのは資金提供後に海外子会社からの配当もしくは利息の受取という形で資金を回収する際になります。

まず配当については海外子会社では費用にならない一方、6ヶ月以上株式を継続して保有する海外子会社からの配当の95%は無税扱いとされ5%部分のみ課税対象となります。日本の法人税の実効税率は約30%になりますので、配当受取総額の約1.5%(5%×30%)日本において課税されることとなります。なおここで気をつけなければならないのは、配当支払国である海外で源泉税が課される場合には、海外子会社からの配当支払について課された源泉税は外国税額控除の対象にならないため、源泉税か課された分については取り戻し不能となり、課税された源泉税相当分がそのまま税金コストの増加になるということです。これは外国税額控除の趣旨は日本と海外で二重に課税されることを排除することになりますので、日本で大半が課税対象にならない外国子会社からの配当については、二重課税がそもそも発生していないことによります。従って海外子会社に対し出資を行う際には、海外現地国における税法や日本と海外現地国の租税条約で事前に配当支払の際の源泉税率を確認する必要があります。

 

一方貸付金については海外子会社で費用になる一方、日本の親会社では収益として課税対象になります。親会社と子会社のトータルで見ると合計の課税所得は変わらないのですが、費用になる海外現地国の実効税率が収益になる日本の実効税率より大幅に低い場合、グローバルベースで見ると実効税率の差分が課税対象に含まれてしまうため注意が必要になります。また海外子会社所在国の税法によっては、グループ会社への支払利息について費用計上の制限を設けているケースがありますので、事前に海外現地国の税制にそのような制限がないかを確認する必要があります。なお日本の税法には、グループ会社からの借入金に係る支払利息について費用計上の制限がありますので、海外に所在する企業が日本に子会社を設立するケースでは留意する必要があります。

また元本の回収については貸付については特段論点となるものはなく強いてあげるとすれば、円貨建にするか外貨建にするかにより日本もしくは海外のどちらかで返済時(もしくは各期の決算時)に為替差損益が発生することくらいになります。一方出資の返還については、会計処理と税務処理が大きく異なる部分であり、特に海外子会社からの出資の返還は大半の税理士にとって馴染みがない処理になるため、国際税務に精通した税理士に事前に確認をする必要があります。

海外子会社に対し出資・貸付を行う際には、回収時の税務上の影響について、事前のシュミレーションが必要

以上で述べたように海外子会社への出資・貸付については、海外子会社への資金提供時では取り扱いに差異はないのですが、その後の利息・配当・元本の回収時には取り扱いに大きな差異が生じることとなります。

このような海外子会社とのクロスボーダー取引の際の税務上の影響については、一般の国内法人を対象にして業務を行う大半の税理士にとっても馴染みがない分野であると考えられるため、海外進出を行う企業がこのような取引を行う際には、国際税務に精通した税理士に取引実行前に事前に取引を行うことによる税務上の影響について確認を行うことが必要になります。

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