有価証券等のキャピタルゲインについては、売却した者が居住している国において課税権があることが標準的な租税条約であるOECDモデル租税条約において定められております。このことを利用して、多額の含み益を有する有価証券等を保有したまま、有価証券等の譲渡益に対する課税が非課税である国に出国した後、有価証券等の譲渡や贈与及び相続を行うことにより、日本における納税を回避するという行為が富裕層を中心として行われておりました。このような形で日本における納税を回避する行為を防止するため平成27年度税制改正で創設されたのが、国外転出時等課税制度(出国税)になります。国外転出時等課税制度(出国税)とは、国外に出国する日本の居住者が出国時に保有する有価証券等の未実現の含み益に対し課税する制度になります。このコラムではこの国外転出時等課税制度について解説致します。
国外転出時課税制度の適用対象者は、次のいずれの要件も満たすものとされております。
また、国外転出時課税に係る所得については他の所得とあわせて申告をすることとなり、所得税法における申告期限は以下の通りになります。
また、所得区分については国外転出時に有価証券等を決済したものとみなして課税が行われるため、実際に決済を行った場合と同じ所得区分が適用されることなります(有価証券の譲渡であれば譲渡所得、デリバティブ取引の決済であれば雑所得(もしくは事業所得)。
なお、適用対象資産の範囲には上場の有価証券だけでなく非上場株式も評価対象になりますので、未上場会社のオーナー様については留意が必要になります。その場合の株式評価については相続税評価額等を参考に行うこととなりますが、相応の準備が必要になるため早い段階で検討を開始する必要があります。
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