節税という言葉には、航空機リースや船舶等のレバレッジドリースといった課税の繰延から各種税額控除といったものあるいは同族企業における親族に対する青色専従者給与の適用といった中小企業向け節税策まで幅広い概念が含まれるかと思われます。
ここでレバレッジドリースが課税の繰延に過ぎず通算での所得は基本的には変わらないことや青色専従者給与の活用といった中小企業向けの節税策が一定規模以上の法人に対しての効果が乏しいのに対し、各種税額控除制度は通期でみた税金の削減を合法的に行うことができるという意味で会社の規模を問わず全面的に活用すべき制度になります。
各種税額控除制度は会社の規模を問わず有効な節税策である一方、制度に対する単純な理解不足のために活用しないことで、本来であれば獲得できたであろう税金の削減効果という利益を獲得できないことにより、結果として機会損失が発生してしまっている企業が多々あることと考えられます。このコラムでは、そのような税額控除制度の代表格の一つである中小企業経営強化税制について解説致します。
中小企業経営強化税制の対象となる資産は、機械・装置(160万円以上)、工具器具備品(30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)、ソフトウェア(70万円以上)等の土地・建物・構築物以外の固定資産とされ、取得価額全額の即時償却もしくは7%の税額控除(資本金3,000万円以下の法人又は個人事業主は10%の税額控除)のどちらかを選択適用することができます。なお、税額控除については法人税額の20%を限度とすることになります。
本税制の適用対象となる法人ですが、名称の通り資本金1億円以下等の要件を充足する租税特別措置法上の中小法人に適用が限定されており、税務上の中小法人のみ恩恵を受けられる制度になります。
中小企業経営強化税制の適用対象となる経営力向上設備には、生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)があり、このうちA類型については生産性が旧モデル比で1%以上改善すること等の要件を充足する先端設備に適用範囲が限定されていることから本コラムでは収益力強化設備(B類型)を中心に解説することとします。
収益力強化設備(B類型)について中小企業経営強化税制の適用を受けるためには、以下の要件を充足する必要があります。
なお、本税制の適用上の留意点等に関する詳細については以下リンク先の中小企業庁のHPに解説されております。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2017/170315kyoka.htm
本税制の適用に当たっての最大のポイントは投資計画の利益率が年平均5%以上となるかということですが、投資計画の投資利益率5%以上という要件がそもそも営利企業で投資を行う際に通常であれば達成しなければいけないレベルの水準であり、かつ本税制についてはあくまで投資計画作成時に年平均5%以上と見込まれていればよく、実際に達成できたかについては問われないことから、適用のハードルは他の優遇税制と比較しても低い分類に入る税制であるものといえるかと思われます。
実際に本税制の前身となる生産性向上設備投資促進税制については税法上の大法人でも適用が可能な税制でしたが、投資利益率が15%(中小法人は5%)と本税制と比較すると大幅に高いハードルであったにも関わらず、申請法人があまりに多かったため平成29年3月末をもって終了し、中小法人に適用が限定される形で中小企業経営強化税制として存置されることとなりました。現在では税務上の中小法人だけ恩恵が受けられる制度になりますので、要件を充足する中小法人が節税を検討する際には第一に検討すべき制度の一つであるものと考えられます。
当事務所では、中小企業経営強化税制等の税額控除制度の活用による節税のご相談についても広く承っており、報酬についても実際の節税額に応じて報酬を頂く成功報酬型の報酬体系についても選択頂けますので、本税制の適用による節税について興味をお持ちの企業様については是非当事務所までご一報頂ければと存じます。
【当事務所サービス】 当事務所では、中小企業経営強化税制に関する以下のようなサービスを提供しておりますので、お困りの際は随時以下のお問合せフォームよりご連絡ください(ご相談については、本契約締結までは無料になります)。
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