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株式報酬型1円ストックオプションの税務
(国内税務コラム_2019/4/22)

ストック・オプションを長期的なインセンティブ報酬として付与する方法として、権利行使可能期間を長期に設定しかつ権利行使価額を1円にする株式報酬型1円ストック・オプションがあります。これは、ストック・オプションの権利行使可能期間を長期に設定することにより長期の株式の値上がり益を享受することができる一方で、仮に株式の時価が想定通りに上昇しなかったとしても、権利行使価額が1円であるために株価と1円との差額を報酬とすることができるものになります。

このコラムでは、この株式報酬型1円ストック・オプションについて解説致します。

税務上の適格ストック・オプションの要件は充足できない

この株式報酬型1円ストック・オプションの税務上の取扱になりますが、ます権利行使価額が1円のストック・オプションは、譲渡時の譲渡所得課税とされる税務上の適格ストック・オプションの要件は充足しないこととなります。これは、税制適格ストック・オプションの要件に権利行使価額がストック・オプション付与時の時価以上であることがあり、1円ストック・オプションは当該要件を充足しないことによるものになります。従って、権利行使時の課税となり所得区分は原則として給与所得(一定の要件を充足する場合は退職所得)とされることとなります。

なお、1円ストック・オプションは税制非適格ストック・オプションとされることに伴い、ストック・オプションの発行法人においては、ストック・オプション権利行使時に株式の時価相当額が損金算入されることとなります(役員については退職金に相当する場合に限られます)。

なお、税制適格ストック・オプションについてはこちらのコラムもあわせて御覧ください。

退職金型1円ストック・オプションの税務

上記のように1円ストック・オプションについては、税制非適格ストック・オプションに該当することとなるため、通常は総合課税である給与所得としてストック・オプションの権利行使時に課税されることとなり、累進税率による税率が高い高額所得者については重い税負担が生じることとなりますが、1円ストック・オプションを退職金型として設計する場合には退職所得に対する税制上の恩典により税負担が軽減されることとなります。

ここで所得税法条の退職所得の要件を充足するためには、ストック・オプションの権利行使による収入が退職に起因して一時に支払われるものであることが必要ですが、具体的には以下の国税庁照会回答が参考になるものと考えられます。

権利行使期間が退職から10日間に限定されている新株予約券の権利行使益に係る所得区分について

上記の国税庁照会回答では、照会事案について新株予約権の権利行使益に係る所得区分が退職所得に該当することとした判断根拠として、「本件新株予約権は、現実に役員を退任しなければ権利行使をすることができず、また、退任後極めて短期間に一括して権利行使をしなければなりません。」と言及しており、このような要件を充足する1円ストック・オプションの所得区分については、退職所得として取り扱われることになるものと考えられます。

なお。ストック・オプションの権利行使益の所得区分が退職所得に該当する場合には、役員に対しストック・オプションを発行した法人においても、ストック・オプションの発行法人において権利行使時の株式の時価相当額が損金算入されることとなります(過大役員退職給与に相当する部分を除きます)。

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