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自己株式取得仕訳とみなし配当について
(国内税務コラム_2019/4/3)

自己株式取得等の資本取引については、会計処理と税務処理とで大きく取り扱いが異なり特に税務上はみなし配当が生じることに留意が必要です。本コラムではこの自己株式取得についての会計・税務処理について解説致します。

自己株式取得の会計処理

会計上自己株式の取得は、新株発行と同様に会社と株主の間の資本取引であり、株主に対する会社財産の払い戻しの性格を有するものと考えられ、資本の控除項目として取り扱われます。

具体的には、取得した自己株式は取得原価をもって純資産の部の株主資本から控除し、自己株式の取得に関する付随費用は、損益計算書の営業外費用に計上されます。

なお、株主サイドでは通常の他の株式同様に譲渡対価と売却原価の差額が株式の譲渡損益として取り扱われます。

自己株式取得の税務処理

自己株式取得の税務処理は、取引が相対取引か市場取引かにより取り扱いが異なります。

①相対取引の場合

【自己株式を取得した法人の課税関係】

自己株式を取得した法人については、自己株式取得の対価のうち、資本金等の額に対応する部分とそれ以外の部分の金額に分けられます。自己株式取得の対価のうち、資本金等の額に対応する部分の金額は資本金等の額の減少として取り扱われ、それ以外の部分の金額は利益積立金額の減少として取り扱われます。

自己株式取得の対価のうち、資本金等の額に対応する部分の金額は以下の算式により計算します。

資本金等の額に対応する部分の金額=自己株式取得直前の資本金等の額×取得した自己株式/取得直前の発行済株式総数(自己株式を除く)

【株主の課税関係】

株主側においては、自己株式の売却対価のうち、取得法人側で認識した利益積立金額の減少額に相当する金額については実質的に配当が行われたものとされ、みなし配当が生じます

また、自己株式の売却対価からみなし配当を控除した金額が、株主にとっての株式の譲渡対価とされ、当該株式の譲渡対価と売却原価の差額が株式の譲渡損益とされますが、具体的には以下の算式により株式の譲渡損益が計算されます。

株式の譲渡損益=売却対価-みなし配当-株式譲渡原価

ここで株主が個人である場合には、株式の譲渡損益部分は所得税の区分上譲渡所得とされる一方、みなし配当部分については配当所得とされ異なる所得税率が適用されることに留意が必要になります。

このみなし配当の趣旨ですが、自己株式の取得対価のうち利益積立金に対応する部分の金額は実質的に配当が行われたものと同じ効果をもつことになりますが、自己株式の取得についてみなし配当を認識しない場合には、主にオーナー会社において自己株式の取得を配当課税を潜脱するための手段として用いられることによる課税上の弊害が生じることが懸念されることによるものと考えられます。

なおみなし配当部分については、通常の配当と同様に支払った企業において源泉税(非上場株式の配当は20.42%)の徴収が必要になることに留意が必要です。

 

②市場取引の場合

【自己株式を取得した法人の課税関係】

自己株式の取得であっても、市場における購入などの一定の場合には利益積立金の減額は認識せず。取得対価の全額が資本金等の額の減少として取り扱われます。

【株主の課税関係】

市場取引の場合には、取得した法人において利益積立金の減額が生じないためみなし配当が生じないこととなり、自己株式の譲渡対価と売却原価の差額がそのまま譲渡損益として取り扱われます。

これは市場における取引の場合には、相対取引の場合のような課税上の弊害が生じることが想定されないことによるものと考えられます。

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