グループ内に多数の子会社を抱える企業において、グループ全体での税金負担を削減することを検討する際に最優先で検討すべき項目の一つに連結納税制度がありますが、多数の子会社を抱える企業においても当該税制に対する認識不足のために制度を有効活用していない企業も多々あるのではないかと思われます。このコラムでは、連結納税制度を有効活用することにより企業が不要な税負担を削減するために把握しておくべき、連結納税制度活用の際のメリット・デメリットについて解説致します。
連結納税制度の最大のメリットは、何といってもグループ内に混在する黒字の会社と赤字の会社の利益と損失を相殺してグループ全体としての納税額を削減できることにあります。すなわち単体納税の場合には、ある会社で赤字が発生した場合には繰越欠損金という形で将来に繰り越され、将来にその会社で利益が発生した場合に、その将来に生じた利益と繰越欠損金を相殺する形でしかグループ内の会社に生じた赤字の活用方法がありません(中小法人だけはそれ以外に欠損金の繰戻還付という前の年に納付した税金の払い戻しを受ける制度があります)。
一方、連結納税制度を活用している場合にはその年にグループ内の他の企業で発生した利益と相殺することにより、適時に税金の納付額を削減することができるため、グループ内に黒字と赤字の会社が混在しているようなグループ会社で節税を検討する際には、最優先で検討すべき項目の一つとなります。
制度の導入から年月も経過しており、今では導入企業数も制度開始当初と比較すると大幅に増加しているものと思われますが、明らかに導入したほうがよいと考えられる状況であるにも関わらずいまだ導入していない企業もしばしば見受けられることから制度を導入していない企業においては導入の必要性を検討する価値はあるものと考えられます。
なお、連結納税の対象範囲は国内の100%資本関係がある企業に限定されるため、仮に赤字の会社がグループ内にある場合でも、海外の会社や100%の資本関係でない会社は対象範囲から除かれることに留意が必要になります。
一方連結納税導入のデメリットの主なものは、主に以下の2点になるかと思われます。
まず、1のデメリットについて連結納税の申告プロセスは各法人が単体納税と同様に各自で入力した申告情報を連結親法人で集計し申告納付する形になりますが、連結親法人で集計が必要になるため若干多くの手間が単体納税と比較し発生する形になります。但しこの点については基本的に市販の申告ソフトで対応可能であるため、このデメリットが理由で導入を取りやめるようなものではないものと考えられます。
一方、2のデメリットについては資本関係発生から5年を経過した法人は対象外のため、頻繁に買収を繰り返し5年以内に資本関係が発生した法人が多数あるような企業を除いては実質的に影響がないものと考えられます。一方頻繁に買収を繰り返している法人の場合については当該デメリットについての影響分析が必要になりますが、そのような法人の場合通常グループ企業数も相当数あり、導入のメリットも相当にあると考えられることから、当該デメリットを差し引いても充分に導入を検討する余地はあるものと考えられます。
連結納税制度については、上記に挙げた主要なメリット・デメリット以外にも細かい論点は多々ありますが、制度開始当初に導入の大きな障壁となっていた付加税については2004年に廃止されており、現在では多数の子会社を抱える企業グループにとっては基本的には導入すべき制度であり、導入されていない大きな理由としては制度に対する理解不足があるのではないかと考えられます。
当事務所では連結納税制度導入に係る影響分析及び制度導入後の申告・納付も行っておりますので、いまだ導入されていない企業様で関心をお持ちの場合お気軽にお声がけ下さい。
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