移転価格文書(ローカルファイル)と混同されやすいものとして移転価格ポリシーがありますが、移転価格文書(ローカルファイル)は法人が国外関連取引を行った場合に、当該国外関連取引における独立企業間価格算定のために必要と認められる書類として租税特別措置法で記載事項が法定化された書類であり、税務調査の際に調査官から提出を求められた場合には納税者が提出義務を負う書類であるのに対し、移転価格ポリシーは移転価格設定方針及び運用ルールを定めたもので主として社内における移転価格管理目的のために作成されるものであり、記載事項について特段税法で法定されておりません。
上記を言い換えますと移転価格文書(ローカルファイル)と移転価格ポリシーの関係としては、移転価格ポリシーにおいて設定した移転価格設定方針についての妥当性を実際に税務調査が行われた際に税務当局に疎明するために国外関連取引の取引内容や移転価格分析について記載した書類が移転価格文書(ローカルファイル)になります。
移転価格文書と移転価格ポリシーについてはこちらのコラムもあわせて御覧ください。
移転価格ポリシーを設定する効果としては、グループベースでの移転価格設定方針を作成し社内に周知することにより、それぞれの現場ベースでの判断により移転価格の設定が行われた結果、グループ全体としてみたときに整合性のない移転価格の設定が行われる事態を防ぐことができるものと考えられます。
また、移転価格ポリシーを予め作成し、マスターファイルやローカルファイル作成の基礎とすることにより、マスターファイル、ローカルファイルの記載を一貫性のあるものにし、実際に調査が行われた際に、調査官に対し首尾一貫した説得力のある説明を行うことの助けになるものと考えられます。
このように移転価格ポリシーには、設定を行うことによりグループベースでの整合性のある移転価格の設定や税務調査が行われた際の首尾一貫した説明を行う際の助けとなる効果があるものと考えられますので、国外関連取引を行う企業は移転価格税制対策をこれから開始するにあたり、移転価格ポリシーの設定を行うことが望ましいものと考えられます。
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