個人の日本における課税関係を検討するうえで、どの居住形態に区分されるかによって課税を受ける所得の範囲が大きく異なってくることから、個人の所得税の課税関係を考える際にはまず居住形態の判定を行うことが必要となります。この居住形態の判定を行ったのち、所得を日本に源泉がある所得である国内源泉所得と日本国外に源泉がある所得である国外源泉所得に区分しそれぞれの居住形態に応じた課税を行うこととなります。
本コラムでは、この個人の日本における課税関係を検討するうえでの前提となる居住者・非居住者・永住者・非永住者の判定について解説致します。
日本の所得税法上、非居住者とは、居住者以外の個人をいいます。従って、判定を行うためには、居住者の定義を理解する必要がありますが、所得税法上、居住者とは、国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人と定義されております。よって、居住者か非居住者かの判定を行うためには、この「住所」および「居所」の定義について最初に検討を行う必要があります。
この判定の基準となる「住所」については所得税基本通達2-1において、各人の生活の本拠となる場所をいい生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定されるものと記載されております。実務上国内に住所を有するかどうかは見解の分かれるケースが多いため、所得税法では国内における「住所」の有無を判断する際に、以下のような推定規定をおいております。
な外国人が日本本社に出向等で勤務する場合、予め出向契約等で日本における勤務期間が1年以上と定められていれば当然に日本国内に住所があるものと推定されることとなりますが、契約上具体的に勤務期間が定められていない場合には、あらかじめ勤務期間が1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き、勤務期間が相当の期間にわたるものと推定し居住者として取り扱われることが所得税基本通達において明らかにされております。
なお、これとは逆に国内に住所を有しない者と推定する場合として所得税法では以下の推定規定をおいております。
これは上記とは逆のパターンで日本人が海外子会社に出向等で海外子会社に勤務する場合出向契約等で予め勤務期間が1年未満であることが明らかにされていなければ、国外に住所を有するものと推定する規定になります。
一方、「居所」については、所得税法上特に明確に定義されておりませんが、一般的には生活の本拠までには至らないものの、個人が相当期間継続して居住する場所とされております。この「居所」を国内に引き続いて1年以上有する場合も国内に住所有する場合と同様に所得税法上は居住者として取り扱われるものとされております。このように所得税法においては、所得の課税範囲を決定する基礎となる居住者・非居住者の区分を「住所」「居所」の国内における有無により判断することとされております。
居住形態の判定の結果居住者と判定された場合には、日本の国籍及び過去10年以内の日本における居住期間により、居住者のうち永住者に該当するか非永住者に該当するかの判定を行うこととなります。
このように日本人が海外子会社に出向する場合や外国人が日本本社に出向する場合には、日本における居住形態を判定しその判定結果に基づき、所得税の課税関係を検討することが必要です。
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