移転価格税制では、国外関連取引が適正価格で行われたかが問題となりますが、この適正価格で行われたかを判断するための基準として独立企業原則という概念があります。これは国外関連取引について、資本関係のない独立第3者間取引で成立する取引価格で取引を行うことを求めるものになります。
独立企業原則は、関連者間取引にかかわる価格設定の基準とすべくOECD加盟各国及び移転価格税制を採用している大半の国において採用されている概念になります。独立企業原則が何故移転価格税制における価格設定の基準として大半の国において採用されているかにについて、多国籍企業が行う国外関連者間取引について独立第3者間取引では通常成立しないような条件で自由に価格設定を行うことができた場合、恣意的な価格設定を行うことで低税率国に意図的に所得の大半を集中させるといった行為を行うことにより、不当な形で本来は税金を納付することが必要であった国における納税を回避するといったことが可能になります。
このような行為を防止するために、多国籍企業における国外関連者間取引について、資本関係のない独立第3者間取引で成立する取引価格で取引を行うことを求める基準が独立企業原則になります。
この独立企業原則ですが、実際に適用するにあたってはしばしば困難が伴うことがあります。すなわち、資本関係のない独立第3者間取引で成立する取引価格について、たとえば明確な市場価格があるものや同様の製品・サービスのクロスボーダー取引が資本関係のない第3者との間でも行われているようなものについては適用することが容易ですが、国外関連者間取引で取引対象となるものの大半は市場価格や第3者との間の取引実績がないことから、そのような形で容易に直接的に適正な価格を算定することができない状況のもとで、移転価格税制の執行上あるべき取引価格を算定することが必要になります。
ここで、独立企業原則のもとで成立する取引価格である独立企業間価格を算定するために移転価格税制の執行上定められた価格の算定方法が移転価格算定方法になります。すなわち移転価格算定方法は単なる概念に過ぎない独立企業原則を実際の移転価格の実務に適用するためにOECD移転価格ガイドラインや各国の移転価格税制について定める法令において定められたものになります。
なお、移転価格算定方法については以下のコラムもあわせて御覧ください。
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