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税制適格ストックオプションの概要と適格要件について(国内税務コラム_2019/4/4)

所得税法では、ストックオプションのような経済的利益について「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする」とし、低廉または無償取得による権利を取得した場合には、経済的利益が取得時点で発生したものとして課税されることとなりますが、ストックオプションについては付与時の経済的利益の価額の算定が困難であることから、権利の譲渡の制限が付与されていることと等を条件として、取得後の権利行使時点において課税されます。

実務上はストックオプションを発行する際には権利の譲渡の制限等は付与されることが通常ですので実質的にはストックオプションについては権利行使時に課税されることが原則となりますが、さらに追加の一定の要件を充足する税制適格ストックオプションについては、ストックオプションの権利行使による株式取得後、当該株式の売却時点まで課税を繰り延べることができます。

このコラムでは、この税制適格ストックオプションについて解説致します。

税制適格ストックオプションの主な要件

税制適格ストックオプションの主な要件は以下になります。

  • 会社法238条2項の規定に基づき金銭の払込(金銭以外の資産の給付を含む。)をさせないで発行されたものであること。
  • 会社およびその子会社の取締役、執行役若しくは使用人である個人を付与対象者とするものであること(監査役はふくまれません)。
  • 大口株主(当該付与決議のあった日において、上場会社の場合は発行済株式総数の10分の1超、非上場会社の場合は発行済株式総数の3分の1超を保有する株主))および大口株主の特別関係者(親族等)に該当しないこと。
  • 権利行使期間を付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過するまでの間とすること。
  • 新株予約権の権利行使者の当該行使に係る株式の払込金額(権利行使価額)の年間合計額が1,200万円以下であること。
  • 1株当たりの権利行使価額がストックオプション付与契約時の株式の時価以上であること。
  • 当該新株予約権に譲渡禁止規定が付されていること。
  • 権利行使により取得した株式が証券会社等に保管委託等されていること。
  • 新株予約権を発行した会社が、新株予約権の付与に関する調書を、その付与をした翌年1月31日までに本店所在地の所轄税務署長に提出すること。
  • 新株予約権を付与された者が、付与決議において大口株主およびその特別関係者に該当しないことの誓約書を発行会社に提出すること。さらに、権利行使日の属する年の他の新株予約権の行使の有無等その他財務省令に定める事実を記載した書面を発行会社に提出すること。

税制適格ストックオプションのメリットとデメリット

税制適格オプションについてはメリット・デメリットともにあり、それぞれ以下になります。

①税制適格ストックオプションのメリット

  • 権利行使時点でなく、売却時点まで課税を繰り延べることができる(権利行使時点で課税が生じる場合には、いまだ売却による入金がないにも関わらず納税を行う必要が生じる)。
  • 所得区分について分離課税である譲渡所得とすることができる(税制非適格ストックオプションの場合、ストックオプションの付与事由により所得区分が決定されるため、総合課税である給与所得とされる)。

②税制適格ストックオプションのデメリット

  • ストックオプションの発行に要した費用につき、発行法人において損金算入ができない(ストックオプションは通常役員等に対する職務執行の対価として支給されるが、当該職務執行の対価に相当する金額分が税制適格ストックオプションに該当すると損金算入されない)。

以上のように、税制適格ストックオプションは付与対象者の税務の観点からするとメリットのある制度になりますが、発行法人の税務の観点からはデメリットとなるケースがあることから、ストックオプションを発行する際には双方を比較考慮し制度設計を行う必要があります。

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