受付時間
9:30~18:00
定休日
土曜・日曜・祝日

お問合せは24時間お気軽に!

繰越欠損金の繰越控除と繰戻還付について
(国内税務コラム_2019/7/21)

法人が、法人税法による法定の帳簿書類を備付け、納税地の所轄税務署長に青色申告の承認申請を行い承認を受けた場合には、青色申告法人にのみ付与される税務上の特典を与えられることとなり、その中の一つとして繰越欠損金の繰越控除と繰戻還付があります。このコラムではこの繰越欠損金の繰越控除と繰戻還付の制度について解説致します。

欠損金の繰越控除

各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額がある場合には、過年度に生じた欠損金額を損金の額に算入することにより各事業年度において生じた所得の金額と相殺することができます。なお、平成30年3月31日以前に開始した事業年度において生じた繰越欠損金の繰越可能期間は10年間ではなく9年間とされております。

また、税務上の中小法人以外の法人については所得の金額と相殺することができる欠損金の額が各事業年度の所得の金額の50%に制限されております

ここで税務上の中小法人等とは以下のいずれかに該当する法人になります。

  • 普通法人のうち、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもので次に掲げる法人に該当しないもの又は資本若しくは出資を有しないもの               
  1. 次の一の大法人による完全支配関係(100%資本関係)がある法人            ①資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人                 ②保険業法に規定する相互会社及び外国相互会社                  ③受託法人                                 
  2. 完全支配関係がある複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人
  • 公益法人等又は協同組合等
  • 人格のない社団等

適格合併等が行われた場合の繰越欠損金の制限

適格合併が行われた場合には、被合併法人で合併前から保有していた繰越欠損金は合併後に合併法人において合併前から保有していたものとみなされることとなりますが、以下の(1)又は(2)のいずれの要件にも該当しない場合には、合併法人及び被合併法人の双方において合併前から保有していた繰越欠損金の引継・使用が制限されることとなります。

(1)次のいずれかの日のうち、最も遅い日から継続して支配関係等(50%超の資本関係等)がある場合                                      

  • その適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日又はその残余財産確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日
  • 被合併法人設立の日又は合併法人設立の日

(2)その適格合併が「共同で事業を行うもの」として以下の1から4までもしくは1及び5の要件を充足する場合

  1. 被合併法人の行う主要な事業(被合併事業)と合併法人の合併前に行う事業(合併事業)が相互に関連性を有すること(事業関連性要件)
  2. 「被合併事業」と「被合併事業と関連する合併事業」のそれぞれの売上金額、従業者数や「被合併法人」と「合併法人」のそれぞれの資本金の額など規模の割合がおおむね5倍を超えないこと(事業規模要件)
  3. 「被合併事業」が合併法人との間に支配関係が生じて以降合併直前の時まで被合併法人において継続して行われており、かつ、それぞれの時点での事業規模要件と同じ指標の変動割合が2倍を超えないこと(被合併法人における事業継続要件))
  4. 「被合併法人と関連する合併事業」が合併法人において被合併法人との支配関係が生じて以降継続して行われており、かつそれぞれの時点での事業規模要件と同じ指標の変動割合が2倍を超えないこと(合併法人における事業継続要件)
  5. 被合併法人の特定役員(社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役又は常務取締役等)のいずれかの者(支配関係日前において被合併法人の役員等であった者に限る)と合併法人の合併前における特定役員のいずれかの者(支配関係日前において合併法人の役員等であった者に限る)が合併後においても特定役員となることが見込まれていること。

 

特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越の不適用

繰越欠損金を有する法人を買収し買収後に当該欠損金を利用することにより別の事業で生じた所得を圧縮するといった租税回避行為を防止するため、欠損等法人がその買収後5年以内に、買収前の事業の全部廃止、その事業規模を大幅に超える資金借入れを行う等一定の事由に該当するときは、欠損等法人の欠損金の繰越控除が制限されます。

具体的には、他の者による特定支配関係(50%超の資本関係)が生じた日(支配日)の属する事業年度において、青色欠損金又は評価損資産を有する法人(欠損等法人)が、その支配日後5年を経過した日の前日までに次の1から5に掲げる事由が生じた場合には、その該当することとなった日の属する事業年度以後の各事業年度においては、適用事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額については、繰越控除できないこととなります。

  1. 支配日の直前において事業を営んでいない場合において、支配日以後に事業を開始すること
  2. 支配日の直前において営む事業(旧事業)の全てを支配日以後に廃止し、又は廃止することが見込まれている場合において、旧事業規模のおおむね5倍を超える事業資金を受け入れること。
  3. 欠損等法人と特定支配関係を有することとなった者、またはその関連者が当該欠損等法人の特定債権を他者から取得している場合に、欠損等法人が旧事業規模の概ね5倍を超える資金借入等を行うこと。
  4. 上記1から3の場合において、欠損等法人を被合併法人とする適格合併を行うこと又は欠損等法人の残余財産が確定すること(完全支配関係(100%の資本関係)がある場合に限ります)。
  5. 特定支配関係が生じたことに起因して、欠損等法人の常務取締役以上の役員の全てが退任し、かつ、欠損等法人の使用人の20%以上が退職した場合において、支配日前の使用人が従事しない事業の規模が旧事業規模のおおむね5倍を超えること。

欠損金の繰戻しによる法人税の還付

欠損金の繰戻しによる還付制度とは、青色申告法人について欠損が生じた場合において、その欠損金を欠損が生じた事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度の所得に繰戻し、その事業年度に支払った法人税額について還付請求することができる制度になります。但し、税務上の大法人(資本金1億円超等の法人)については、現在一定の事由に該当する場合(清算中の事業年度等)を除き当該制度の適用が停止されているため、当該制度は主に税務上の中小法人(資本金1億円以下等の要件を充足する法人)向け制度になります。

欠損金の繰戻しによる還付を行うためには、以下の要件を充足していることが必要になります。

  1. 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
  2. 欠損事業年度の確定申告書を青色申告書により期限内に提出していること。
  3. ②の青色申告書と同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出していること

Menu

インフォメーション

お問合せ・ご相談

お問合せはメールで受け付けています。
24時間お気軽にお問合せください。面談をご希望の場合、近隣のお客さまであれば面談を実施することも可能です。
遠方のお客さまの場合、原則お電話(Skype)でのご相談となりますので、ご了承ください。

受付時間/定休日
受付時間

9:30~18:00

定休日

土曜・日曜・祝日

アクセス

〒104-0054
東京都中央区勝どき5-5-14
都営大江戸線勝どき駅徒歩7分